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札幌高等裁判所 昭和58年(ラ)40号 決定

抗告人 及川幸江

抗告人 三木英子

上記抗告人ら代理人弁護士 藤原栄二

被抗告人 佐藤みどり

第三債務者 株式会社 北海道銀行

代表者代表取締役 堀寛

主文

本件差押え及び転付命令のうち、抗告人及川幸江について四六四万一六七四円、抗告人三木英子について三五二万七四六六円の各限度でこれを取り消し、当該部分に対する被抗告人の本件差押え及び転付命令の各申立てを却下する。

抗告費用は被抗告人の負担とする。

理由

一、本件執行抗告の趣旨及び理由は、別紙記載のとおりである。

二、本件記録によれば次の事実を認めることができる。

(1)  抗告人らは、被抗告人の申立外奈良嘉光に対する札幌法務局所属公証人辻三雄作成昭和五三年第一〇二三五号債務承認支払契約公正証書の執行力ある正本に基づき、札幌地方裁判所が昭和五八年九月一九日別紙目録記載の預金債権についてした本件差押え及び転付命令に対して、前記預金債権のうち、四六四万二〇〇〇円については抗告人及川幸江が、三五二万八〇〇〇円については同三木英子がそれぞれ実質的預金者であるとして強制執行の不許を求める旨の第三者異議の訴えを札幌地方裁判所に提起するとともに、前記各金額の限度においてその執行を一時停止する旨の決定を得て、その正本を執行裁判所に提出し、これを理由として本件執行抗告に及んだこと(なお、本件執行抗告は、前記のとおり執行を一時停止する旨の決定のあったことを理由とするものであるから、当裁判所は、民事執行法一五九条六項によりその裁判を留保することとした。)。

(2)  その後、札幌地方裁判所は、抗告人らの提起した前記第三者異議の訴えにつき、昭和六〇年六月六日抗告人らの請求を全部認容し、かつ、仮執行宣言付で、前記の執行停止決定を認可する旨の判決(同裁判所昭和五八年(ワ)第一七一三号)をし、更に被抗告人の控訴につき、札幌高等裁判所(同裁判所昭和六〇年(ネ)第一五一号)は、昭和六〇年一二月二六日、抗告人及川幸江について四六四万一六七四円、同三木英子について三五二万七四六六円の限度で、抗告人らの請求をそれぞれ認容し、かつ、その限度で、仮執行宣言付の、前記の執行停止決定を認可する旨の判決をし、同判決は確定したこと。

三、叙上の事実によれば、本件差押え及び転付命令の各申立ては抗告人及川幸江については四六四万一六七四円、同三木英子については三五二万七四六六円の各限度で理由がないというべきである。

四、よつて、本件差押え及び転付命令のうち、抗告人及川幸江について四六四万一六七四円、抗告人三木英子について三五二万七四六六円の各限度でこれを取り消し、当該部分に対する本件差押え及び転付命令の各申立ては失当としてこれを却下することとし、抗告費用の負担につき民事執行法二〇条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 奈良次郎 裁判官 柳田幸三 中路義彦)

〈以下省略〉

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